夜の桜の世界に潜入。桜の声に耳を澄ますが何も聞こえず。

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昨晩は2021年の夜桜を楽しんできました。

少しずつ緑の葉が顔を出し始めていて、今年の桜ももう終わりが近いようです。

 

満開への道

桜は不思議な木です。

あれだけの数の花をつける木は、ほかに思い当たりません。

だから、1つ1つは小さな花でしかないのに、満開になったときには驚くほどのパワーを放ちます。

たった1つでも咲き残ってはいけないのです。つぼみで終わることは許されずです。

すべての花が開花して、全体から発せられる圧倒的なパワー。咲かせきったという満足感と、疲労感のようなものも感じます。

毎年、息がつまるような、そんな気分になります。それを受け取ったときがわたしにとっての満開の日です。

あまりに開花がバラバラだと、咲いた花あり、散る花ありで、九分咲きくらいで雨に降られたりすると、本当に残念。

ということで、本物の満開(?)は毎年見られるわけではありません。

今年は満開直前の雨で、咲きそろう前に少し散ってしまいました。本物の満開を100点だとすると、90点くらい。それでも見事な桜でした。

1枚の葉も残さず、冬を過ごした、桜の木。どこにあれだけの力を持っていたのか。

やはり、桜の木の下には、何か秘密がありそうな、そんな気がしてしまいます。

 

夜桜の世界

毎年の楽しみは昼だけではありません。

今年も、晩御飯をすませて、今宵こそはと出かけてきた昨晩です。

出かけるというほどの距離でもない河原の桜並木。こんな場所に住んでいるから、夜桜も楽しめるという特典付き。

人の気配もほとんどなし。

幻想的な世界を味わうことができます。1年のうち、限定1週間の風景です。

提灯には個人名が入っています。

あれれ。なんか楽しい提灯があります。あきらさんとのり子さん。どんな関係なんだろうと思わず想像。

幻想的な桜提灯の世界から、赤提灯の世界に飛んでしまいました。

あの世もこの世もないような、混沌としているような、そんな気分になっていたのに。

桜の声に耳を澄ませてみましたが、今年は何も聞こえず。

これは間違いなく、さっき見てしまった提灯のせい(笑)

現世から遠ざかることには失敗したけれど、現世で会える人たちを思いながら歩けば、それはそれで楽しい。

突然、坂口安吾の短編小説が頭の中にふわりと登場。

そういえば、そんな世界もあったなあ。

 

みんなを思う夜

帰宅したところで、縁のあった方の訃報に接しました。

いつも人を喜ばせたいと思いながら、田舎で暮らしていたおばあちゃんでした。

“願わくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ”

まるでこの歌のよう。

ご主人を1月に亡くし、3ヶ月後の昨晩に旅立たれた88歳のおばあちゃん。5年ほど前まで、手作りの味噌などを分けてもらってました。

桜が満開の夜に逝ったおばあちゃんのこと、きっと忘れないだろうなあ。あの味噌の味とともに。

仲のよかったご夫婦は、こんなふうに相方を送って、まもなくに亡くなるという話を聞いたことがあります。

夫が亡くなって、26年も生き続けているということは・・・。

いやいや、人にはそれぞれのスケジュールがあるのです(笑)

夫婦でなすべきスケジュールと、単独でなすべきスケジュールと。

鮮やかな夕日に送られて逝った夫。

まれにみる大雪の最中に亡くなった父。

5月の風に吹かれて飛んでいたのり子さん。

おばあちゃんのおかげで、逝ってしまったみんなも思う夜になりました。

友が逝った。ふわりと逝ってしまった。

2018年5月19日

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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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8 件のコメント

  • はじめまして。
    両学長のYoutubeを観てから、りっつんさんの事を知り、本を買い読みました。
    りっつんさんの心から書かれている文章に胸を打たれました。

    未亡人になる気持ちりっつんさんの文章力で手にとるようにわかりました。

    女手1つで息子さん達を立派に育てたこと、同じ母親として尊敬します。
    お子さん達が自立した場合としなかった場合の金銭面の計算のくだりは吹き出してしまいました。
    本当にそのとおりだとw

    私は現在46歳で19年連れ添っている夫と15歳と9歳の子供がいます。
    先日、夫が不倫していることが発覚。

    子育てと主人の仕事のアシスタント程度の仕事しかしておらず、こんなことをされても、すぐに別れられない自分の不甲斐なさに怒りと悲しさでいっぱいになりました。

    夫とは別れませんが、今回自分の人生について、本当に考えされられた出来事でした。

    りっつんさんはご主人様が亡くなられて後、
    時間売りの仕事ではなく、定年のご年齢を過ぎても働ける職業に就いていらっしゃるのが、すごいなぁと思います。
    どのようにして、今のお仕事に就いたか、もう少し本で知りたかったです。
    りっつんさんのブログで探して読んでみますね。

    そして、3年前、父(母の再婚相手)が81歳で亡くなり、71歳の母は現在一人暮らしです。
    母が今、どんな気持ちで暮らしているのか、自分も将来子供達が巣立ち、夫に先立たれた時(私の方が先?いやいや統計的は女性のほうが長生きということを前提でw)、どんな感じになるのだろうかと、とても参考になりました。

    特に老後のお金のことは、とても参考になります。

    そしてこの本を読んで、怒りを覚える相手がいたり、守らなければならない人が今いるってことは、生きている証で恵まれていることなんじゃないかと思わせてもらいました。

    母にも薦めたい本です。

    ありがとうございました。

    ブログ少しづつ読ませていただきます。

    • まきりんさん

      こんばんは。

      本を読んでくださって、ありがとう!

      実はわたしもアレの体験者。
      告白しますと、かなり激烈な体験があります(笑)
      おっとっと。笑い事じゃないですよね。
      だから、気持ちは、よくわかるつもり。
      自分の不甲斐なさに絶望しました。
      生きているのが本当に嫌になったことを思い出します。
      まさかと思ったけれど、まさかはありうるんです。
      そして夫は関係が修復される前に逝ってしまいました。
      なので、1人で、長く悩み続けることに。
      たぶん夫の分まで悩んでさしあげました(笑)
      好きになることは止められない。
      愛情問題は実に奥が深すぎて、答えは1つではないです。
      いいとか悪いとか、それも一概には言えません。

      別れるとしても、このままを続けるにしても、
      自分の決断に責任を持つことが一番だと思います。
      「あんな判断をしたから、こうなった」ではなく、
      「あの決断をしたから、いうしていられるんだ」と、
      後になって納得できるように、日々を送るべきだと。

      自分の人生は自分だけのもの。
      たとえ夫であっても、渡さないことです。
      と、63歳になったいま、思います。

      • りっつんさん
        こんばんは☆
        返信ありがとうございます!

        りっつんさんもご経験されたのですね^^;
        とてもお辛い経験だったとお察しします!

        『愛情問題は奥が深すぎて答えは1つじゃない』

        本当にその通りですね。
        今、答えは見つかっていませんが、
        そんなにすぐに答えがでるものではないと思いますので、
        自分が納得した道を歩んでいきたいと思います。

        『自分の人生は自分だけのもの。
        たとえ夫であっても、渡さないことです。』

        いいお言葉ですね
        涙がでてきそうです(;_;)

        自分に子供がおず、若くて、
        自立した生活ができていれば、なんの迷いもなく
        夫とは縁を切ります。

        しかし、経済的に自立していない。
        育てなくてはならない子供たちがいる。

        今、離婚して不倫相手に慰謝料を求めたとしても、
        200〜300万程度

        しかも相手も配偶者持ちで、
        相手の配偶者から夫は訴え兼ねられない状況
        夫から養育費もらえたとしても月12万円程度
        払わない元夫も多いと聞きます。 

        これでは自分は何もやっていないのに、
        1番惨めになってしまうと思いました。

        それに、通帳の慰謝料の金額を見る度に、
        気持ちを掻き乱されるのは本意ではありません。

        当事者は認めていますので、
        弁護士会館で30分2000円で相談にのってくださる
        弁護士と相談して誓約書を作り、署名&捺印させました。 
        今度、不貞を犯したら500万円の罰金を請求しますが
        今回は慰謝料は要求していません。

        相手の配偶者がこのことを知って訴えたとしても、
        不倫女が背負う文言をいれました。

        愛情ではなく、生きていくために離婚をとどまりました。
        なので、私は経済的にも精神的にも夫から自立して生きていきたいです。

        そして、子供たちをりっつんさんのお子さんのように、
        世間できちんとやっていけるように育たてていきたいです。

        だから両学長のお金の勉強の動画を観て、まずは経済的自由になれるようにスキルをあげていきます。
        まだまだですが^^;

        りっつんさんの本と巡り会えて良かったです。
        ありがとうございました。

        • まきりんさん

          おはようございます。
          まきりんさんのコメントを読んでいるうちに、
          書いてみたくなりました。
          本日の記事、読んでくださいね。
          ありがとう!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

  • りっつんさん こんにちは

    花の下にて 春死なん
    好きな歌です。

    満開の桜を見ることは無常の喜びですけど、同時
    に死ぬことも考えてしまいます。
    毎年そうです。
    パッと散るからでしょうか…

    死んだら直葬で、骨は火葬場で処分してもらうよ
    うに、息子に頼んでいます。
    関東ではできないと聞きましたが?

    • 相棒さん

      こんにちは

      桜は死を連想させますよね。
      散る姿がまた印象的だからでしょうか。

      わたしは、死んだ後のことはおまかせコースにしています。
      好きなようにやってくれ〜。
      あまりにひどいことしたら、うらめしや〜と出ます(笑)

  • こんばんは りっつんさん

    文字で仕事している方だから文章が上手いのは感服してはいたのですが本日のブログは心に響いて泣きそうになりました
    多分桜の咲いている時に娘を亡くしたからだと思います
    まだ心のどこか一つ蓋が閉まったままなのです
    早朝の桜だけは何か私に話しかけてくれているような気がします
    桜は私にとっても不思議で謎で悲しくて美しい
    26年経って息子さん2人を育てて独り立ちさせたのですから本当に立派です
    すぐに追いかけちゃったら子ども2人で路頭に迷っちゃったとこです(笑)
    それにりっつんブログにも会えて良かった

    • コロボックルさん

      こんにちは

      この子たちが通帳の管理ができるようになるまで
      生きていたいと強く思いました。
      次男が高校生になったときは、もう大丈夫と思いましたが、
      なんだか、まだ生きています。

      夫と桜を見たときには、死の数ヶ月前。
      河原に着くと、疲れたのか、シートの上に横になって。
      あのとき、息子たちがいたのかどうか。
      どうしても思い出せないのです。

      その姿を思い出さない春はありません。
      春はほんのりと悲しみも連れてくるようです。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。