『人間、このタガの外れた生き物』を読んで、ちょっとアリ目線で考えてみる。

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わたしの好きなエッセイストの一人、池田清彦さん。

池田さんの本業は生物学者で昆虫に大変詳しい方。昆虫採集のためには地の果てまでも足を運ぶ。そして昆虫や動物の世界から人間の世界を見るというような、客観的、俯瞰的視線をお持ちです。

この本も何年か前に買って、時々出してきては読んでいる1冊です。

 

タガ、外れてる?

「箍(たが)が外れる」というのは、緊張や束縛がとれ、しまりがなくなること。

箍(たが)は樽(たる)などの外側にはめる、竹や金属で作った輪のこと。それが外れると樽の板がばらばらになることから、緊張や束縛が外れることを表現している。

わたしたちは、この地球上に生きるたくさんのの生き物の中の一つでしかない。なのに、今、この星の上では大威張りだ。天下取ったり!。そんな中で、すべての生き物は同列である(?)という目線から人間を観察している池田さん。

だから生き物すべてを大事にしろとか、そういうことではない。すべての生き物は存在している。ただその事実から冷静な目線で人間をとらえている。

池田さんは、「人間という種はタガが外れている」という。確かに生き物として、なんだかちょっと不思議な方向へ向かっていることは否めない。秩序を失って、好き勝手な方向に生きようとしているのが、人間という種。それに対して反論する余地はないだろう。

何しろ戦争をする生き物は人間だけだ。そして人間は自然を破壊する。積極的に自然を壊して新しいモノを作り上げることにおいては天才だ。ライオンもアリも自然破壊はしない。そもそもそこまで数は増えない。

種を守るために数を増やさないことになっているのか?人間は増えてはいけないほど増えしてまっから、自らで数を減らしているのか?

肉食系とか草食系と言われて久しいけれど、最近では植物みたいな人も現れてきた。種の保存に関して、動かない。その場にいるだけ。つまり恋愛に興味がない系。これも実は進化なのかもしれない。

人間も動物も身体の中に備わっているシステムとかルールは同じ。ただ脳が大きくなってしまったというだけ・・・らしいのだけど。どこへ行こうしているんだ?ホモ・サピエンス。

 

中年の危機

人間は40歳くらいになると、自分の行く末はだんだんと見えてくる。そこで「中年の危機が訪れる」。そんな時どう対処すべきなのか。

池田さんは「リストラにおびえながら過ごすんじゃなくて、そこで頭を切り替えろ」と言う。ま、言うのは簡単だよね。だけど、わたしも60年生きてきて、実は同じようなことを思っている。わたしも、言うのは簡単なので、言うけれど。

若い頃はどこかに所属して、それもできるだけいいところに所属して・・・と思っていたけれど、それが幻想だったことに気づいてしまった。

そこそこ幸せに生きている中年にさしかかった息子たちにも、いろいろと問題は降ってくる。相談(?)されるとわたしはこんなことを息子たちに伝えるようにしている。実にほんのりと添え物のように伝えるようにしている。内容はこんなこと。

考え方を柔軟にしておけ。何かにしがみつくな。その気になれば、どこでも働ける。自分を守れ。

我が家はやたと無駄な会話は多いが、それぞれの生き方には絶対に入り込まないので、お互いに詳細は不明。実は我が家は謎とヒミツに満ちている者たちの集まりなのだ(笑)

今後もほどほどの距離感を保ちたいので、婆の意見などはあくまでソフトに伝えるようにしている。オブラート三重包みで伝える。何しろ、わたしがよかれと思うことは、わたしが生きてきた時代と環境から得た知識だ。不変的に通用するとは思えない。

それでも60年生きてきて、自分の目で見て、思うことはあるというだけ。あくまでも参考意見にすぎない。生き方なんて、あくまでも時代環境を自分の目で見て、自分の頭で考えるべきだ。流されるもよし、流されぬもよしだと思う。

 

生きるのに必須なスキル

30代のころ、超有名企業を捨てて、それ以来、転職を繰り返した友人がいる。当時は「もったいない!粘ればいいのに」と思ったけれど、現在の彼の姿を見て、それが違っていたことに気づく。

彼は本当にやりたいことを続けて、今、実に楽しそうに生きている。そんな生き方もあったのだ。彼は自分を信じことができたのだろうと、今になって思う。そういう柔らかい頭を持っていたのだろうと、感心する。

彼は60歳を過ぎても現役でアラブのどこかの国で、何語かを操りながらイキイキと暮らしている。見かけも大変に若々しい。とても60越えには見えない。有名企業もステキ。だけど、退職すれば、それでおしまい。彼はそんなことにとらわれずに、きっと死ぬまで動き続けるだろう。

この人の特徴はなんだったかというと、人の間に入り込むのが得意だということ。多種多様な人が友だちにいた。人種、性別関係なく、若い頃から友だちの多い人だった。

池田さんは普通の人間にとって、生きていくのに最も重要なスキルは「コミュニケーション・スキル」だと言う。そういう観点から見れば、わたしの友人である彼は、まさにそのスキルで世の中を泳ぎ渡ってきたと言える。誰かとつながれる能力を磨くことは、自分の生存に役立つということは違いない。

生存のために必要なのは健康診断よりもコミュニケーション能力かもしれない。

そのコミュニケーション能力を磨く上でなにが大切かと言えば、わたしは自立力だと思っている。自立できていない者は他者と良き関係を結ぶことは難しいと思っている。

たまには、ほかの生き物の目線で人間のありようを考えるのも、視野を広げる一助になるかなと思う。

来世では池田さんにもう少し近づきたい。できたら、小学校の同級生なんかを希望したい。そしたらぜひ一緒に昆虫採集とかに励んでみたい。そして新種のカマキリなんかを見つけたい。擬態するカマキリ。学んで、擬態する技も身につけたい。

わたしは池田さんの考え方が、本当に好きだ。

わたしは髪の毛の量とかまったく気にしないタイプだけど、中身はとっても気にするタイプ(笑)


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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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4 件のコメント

  • はじめまして、りっつんさん。
    私はりっつんさんより一回り年上の婆ですが、りっつんさんに教えられることばかり。
    塩麹、「老人一年生」など、私の日々の生活が豊かに広がっていきます。今回の記事にも心からガッテン!
    今度生まれかわったら、りっつんさんと中学校で同級生になりたいな。

    • マミーさん。
      初めまして。
      心からのガッテン!ありがとうございます。
      生まれ変わったら、ぜひ中学校で同級生になりましょう!
      今後とも、よろしくお願いします。ヽ(^。^)ノ

  • 雨☔の日々ですね~
    今回のブログ内容 とても共感しました
    還暦迎える頃になると 考え方は柔らしくなれる? かと
    体のアレコレの不都合は歓迎はしないけど…
    私もあなたと似たような状況で 10年前に旦那さんが亡くなり
    子ども達も独立しましたし 孫にも恵まれた事は
    それなりに 元気の元になりますね
    私はサブの仕事に手作り雑貨を 委託していますから
    一人暮らしでも 何かと急がしいです…
    やはり手や頭使って いる事は大事なことですね
    一人ご飯のメニューも参考になります
    セロリ大好きなんでうれしいなぁ~ サブの料理期待しています

    • モコちゃん。
      おはようございます。
      ホント、同じような状況ですね!
      セロリの葉までサラダで食べるという発想はなかったんです。
      やはり、たまにはデパ地下をのぞいて、
      若い人たちが考えたメニューを参考にさせてもらおうと思っています。
      わたしはセロリだけを千切りにしたサラダが一番好きかも。ヽ(^。^)ノ

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。