ここ数日、熊谷達也ワールドに、はまっています。
『邂逅の森』でマタギの世界を味わい、『七夕しぐれ』と『モラトリアムの季節』で45年ほど前の仙台の雰囲気を存分に味わっております。
『邂逅の森』
『邂逅の森』(かいこうのもり)は『別册文藝春秋』2002年1月号から2003年7月号まで連載されたのち、2004年1月に文藝春秋から単行本が刊行されました。
同年、第17回山本周五郎賞、第131回直木賞をダブル受賞した長編小説です。
実は熊谷達也さんという小説家をまったく知りませんでした。
仙台出身で現在も仙台に住んでおられるという、ふるさとゆかりの作家であるのに。しかも、直木賞の作家だというのに。
ひょんなことがきっかけとなり、知ることになりました。
世の中、知らないことだらけだなあ、ほんとに。
もっとも、2002年とか2004年とか、その時分は、ミュージカル三昧の日々。
それ以外のことには興味が薄かったのは間違いない。本は読んでいたけれど、軽いものが多かったような気もする。
『邂逅の森』に出会えて、よかった!
読まずに死んだら後悔するところだった。
小説は刊行されてから時間が経っていても、こうして出会うことができるのがいいところ。
出遅れても、なんの問題もありません。
長編だけど、文体のリズムがいいので、スイスイと進んでいきました。
盛りだくさんのエピソード展開に、ハラハラドキドキ。
山を歩き、クマを見つけ、雪に埋もれ、愛に溺れ、足を食われ。
いまごろ、クマは穴に入ったかなあ。
ちゃんと隠れていないと、ほら、見つかっちゃうよ。と、忘れずにクマにも思いを馳せる(笑)
聞き覚えのある地名を頭の地図でたどりながら、田舎の祖父母のイントネーションを思い出して頭の中で会話を音変換しつつ、そして生き方について思いを巡らせることができました。
男として、女として、どう生きるのか。頭ではなく、心でどう生きるのか。
スケールの大きい小説でした。
いや〜、おもしろかった!
「七夕しぐれ」
熊谷さんはわたしより、学年が1つ下です。
『七夕しぐれ』は『邂逅の森』とはまったく違う作風。自伝的要素の強い青春小説です。
広瀬川のほとりの町での出来事。まだ仙台の町を市電が走っていたころの話です。
はっきりと町名が書かれてはいませんが、たぶんあの辺りと想像がつきます。わたしが住んでいた町と、それほど遠くはない町。
熊谷さんが小学5年生ということは、わたしは6年生。一気にタイムスリップです。不思議な気分に陥りました。
そして『モラトリアムの季節』は受験に失敗して予備校に通っていた頃の話。これまた、わたしの青春とかぶります。
たぶん、同じ予備校でしょう。当時はあそこしかなかったはず。
知っている地名がゾロゾロでてきて、超リアル。
東照宮の近くとか、福沢町とか。
知ってる、知ってる!懐かしい!
東照宮近くの焼き鳥屋を行きつけにしていた時期もありました。近くに住んでいた人と、よく行きました。
遠い目であのころを思い出します(笑)
だけど、その店の名前も思い出せないことに気づきました。あんなに食べたのに。あんなに楽しかったのに。
東照宮までの道を思い出そうとしても、やっぱり浮かびません。ぼんやりと直線の道が見えるけれども。
それこそが、時間がたったということなのでしょう。
かれこれ40年の月日。
2020年もあと数日だというのに、家事を最低限にとどめて熊谷さんの作品に読みふけっています。
そして興奮しています。
熊谷さんの小説は、神様からの今年最後のプレゼントということにしておきます。読みまくれ〜ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
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