友人から石原慎太郎さんの新作であり遺作を借りてきました。
久しぶりに紙の本。なかなかに厚い本。
読めるかなあ。
石原さんといえば都知事。そして石原裕次郎さんのお兄さんいうイメージで、小説家というイメージはあまりなかったのですが。
どんな文章を書く人なんだろう。
そう思ってページをめくり始めました。
死後発行予定の本
最後のページには、こんなことが記してありました。
この自伝は著者の死後発売される目的で書かれた作品です。
生前に、著者は校正ゲラのチェックを四度済ませております。
死んだあとで公開される自伝。
こんな本を読んだことはありません。
石原さんって、テレビでまくし立てているイメージしかなかったけれど、しかし数ページめくるだけで、別の顔が見えてきました。
彼は、小説家!
どんどん読ませられてしまうのです。
ついついその世界に引っ張り込まれてしまいました。
印象に残った一文。
“人生は自分以外の人間たちとの出会いの集積である”
1人では人生を作ることはできない。
あの人がいて、その人がいたから、今の自分があるということは、よく思うことです。
人生を自分で作っているようなつもりでも、実は誰かによって作られているのが人生というものらしい。
人に対して、何かをやれば、何かが返ってくる。
何もしなければ、何も返ってこない。
彩るのは、自分以外の人。
恋をする人たち
読み進めていくうちに、忘れていた、あるシーンが浮かんできました。
あれは、10年くらい前の冬のある日の仙台駅でのこと。
仙台駅の新幹線上りホームへのエスカレーターでのことでした。
平日だったのでしょう。駅もエスカレーターも閑散としていまた。
わたしの前方(10段ほど上)には、カップル。男性のほうが一段上にいました。
まもなくホームに着くといころ、男性が女性に軽くキス。
こんなところで!とびっくりしましたが、それがあまりに自然で、あまりにかっこよかったのです。
まるで映画のシーンのようだったので、周りを見渡してみましたが、カメラは回ってはしませんでした(笑)
そしてもう1つのびっくり。
これが20代のカップルだったら、驚かなかったかもしれません。
その男性がたぶん70代だったこと。そして女性は40代くらいだったこと。
グレーのウールのコートを着ていた男性は、長身で本当にかっこよかった。女性は飾り気のないサッパリした感じの人で、どう見ても夫婦には見えませんでした。
“年を重ねても、恋をしている人たちがいる”
そんなことを思ったのでした。
石原さんは、歳をとって思い出すことは「恋」だと書いておられます。そして、年齢差のある恋も告白されています。
“しょせん、この世は男と女”
小説を書いてきたたことより、政治家として国や首都を動かしてきたことより、思い出すのは、恋人のこと。
人が最後に思うのは、仕事よりもこういうことだということに、心が揺れました。
生まれて、死ぬということ
弟の裕次郎さんとのエピソードもとても興味深かったです。
こんなにも関わりがあったのかと、驚かされました。
2人がお互いに影響しあっての、成功。
兄弟として生まれたことに、運命みたいなものを感じます。
そこに生まれたこと。そこでなければならなかったこと。その親や兄弟と出会わなければならなかったこと。
今年の12月には、わたしもいよいよ高齢者の仲間入り。
高齢者になりたいわけでもなく、なりたくないわけでもありません(笑)
でも、年齢を言い訳にする高齢者にはならないつもり。
「歳をとったから、もうできない」
それは、若くして死んだ夫への意地でもあります。
最近、身体も借り物だと実感しています。
これは、わたしのものなんかじゃない。
だって、本当に思いどおりにならないんだもの(笑)
わたしという得体のしれないものを乗せてくれているだけ。
身体は、いわば、車みたいなものだった!
乗り物ならばとりあえず拭いておこう。油くらいは差しておこう。
ということで、渋く光る中古車を目指しています(笑)
それでも、動かなくなるときは必ずやってきます。
最期の時を迎えたとき、心をよぎるものは、なんなのか。
最後に目に浮かぶのは、どんなシーンなのか、誰なのか。
そのことに、とても興味があります。
興味どころか、楽しみといえなくもない(笑)
年を取れば、後悔とか喪失感が減っていくのかといえば、どうもそうではないらしいです。
どんな年齢でも、その思いは平等にやってくるのかもしれません。
少しでも心軽やかに死を迎えるためには、生きてるうちに、少しずつ捨ててしまえばいいのだけど、なかなかそうもいかない。いつ死ぬか分からないのだから。
石原さんも「死」への強い予感の内に忌々しい喪失感に苛まれていると綴られています。
テレビで見るだけだった石原さん。この本読み終えたら、身近に感じられるようになりました。
80歳を過ぎた人が、人生を振り返って、何を考えていたのか。
たまたま電話がかかってきたので、長男にもこの本を読むことを勧めておきました。
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本の紹介、ありがとうございます。
生きること、死ぬこと。
私の周りには、夫、母含めて若くして、向こうの世界に旅立った人が何人かいます。
しかも、みんな、私の人生でのキーパーソン。
そのせいか、私は、若い頃から、メメントモリ、死をみつめて生きてきました。
みんな、それぞれ、どんな景色が、死ぬ間際に見えてたのかなぁ。
リッツンさんより一足先に、昨年、無事、高齢者に突入!
死を見つめることは、生を見つめること。
これからは、どんな世界が、私に見えるのやら。
ワクワクしながら、残りの人生を過ごしていきたい。
リッツンさんのように、肩に力入れず、サラリと自然体で。
いつも素敵な文をありがとうございます
アーモンドさん
おはようございます。
近いしい人の死をどう感じるか。
その衝撃が人によって、かなり差があるということに、
50歳を過ぎて気づきました。
わたしはそれまでの価値観がずいぶん覆されてしまいました。
高齢者とはいえ、まだまだできることはたくさんあります。
どんな世界が見えるのか、本当に楽しみですねヾ(@⌒ー⌒@)ノ
こんにちは~
石原慎太郎さん、都知事のイメージが強すぎて著書を読んだことはありませんでした。
でもとても興味深く思いましたので、kindle unlimitedになれば?!読んでみたいと思います(^^;)
私も『死ぬ』時と、『死んだ直後』を想像して、楽しみだと考えています。
『ああ、そういうことだったのね!!』と思えることがいっぱいあるんだろうなぁと。
いつ死ぬのかは分からないから、毎日心軽くなれるよう、渋く光る中古車目指して精進していかないとですね( `ー´)ノ
えみんちょさん
おはようございます。
石原さんの本、面白かったです。
いま「弟」を読んでいますが、
こちらは期間限定でとても安くなっていますよ。
「死ぬ」ことが怖いと思うのは当然ですが、
今まで、死ねなかった人はいないもんねと、
誰でもできることだと思えば、気楽になります(笑)
渋く光る中古車は、そのへんの新車より、味がある!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
姐さん、こんにちは!
図書館に検索をいれてみたところ、既に240人超順番待ちしてました(笑)。
所蔵数と貸出期間も合わせて計算すると、今から予約なら約1年待ち〜。
やはり人気なんですね!
政治家の印象も確かに強かったですが、私は小説家として、と石原良純氏が語った父親として、の印象というのが先に来ます。
以前物議を醸した(生存している)作家を採点する本(これも幻冬社刊)では確か最高点をつけられていました。(忖度か?( *´艸`))
思い出すのは恋…。
そんな感性でなきゃ小説なんて書けないのかもしれないですね。
まぁ自分と 妻 の死後刊行だから(-.-)。(娘がいたら書いたかなぁ?)
奥様が彼をとても大切にしたのを息子氏の話から窺い知りました。ご家庭が円満なのは逝去に際してご挨拶に四男が揃ったのを見て感じましたし。奥様が健気過ぎる…。
小説家としての成功、家庭の円満、どっちか片方でも得難いくらいなのに両方、その上政治も!しかも有 名 政治家。
きっと人知れずその代価を払ったことでしょうね。
先程四柱推命で覗き見してみたら、小説家というのは正にうってつけ!しかも最身弱。よくも政治家として長きにわたってこなしてきたもんだと思います。が、国を支えることに貢献するような星をまん真ん中にお持ちなので、それが発動したのでしょうか。妻の星はあるが恋愛体質の星は見えないです。
きちんと命式を読み込める方の見立てを聞いてみたい!と思いました。その本があれば鑑定を検証できそうです。
読んでみようか、迷います〜(´-`).。oO
デイジーさん
おはようございます。
なんと、240人ですか!
Kindleをお持ちなら、「弟」を入れることをお勧めします。
いまも期間限定で235円。
内容もけっこう被ってます。
どちらも読み応えあります。
初めて石原さんの本を読みましたが、日本語の使い方、好みでした。
風景が浮かんでくるようです。
恋愛体質の星が見えない?
おかしいなあ(笑)
なかなか魅力的で、情のある方だったようです。
代償はきちんと払っていかれたんでしょうか。
残債があると、閻魔さまから、お咎めがあるかも(笑)
まあ、自伝とはいえ、小説家ですから、
どこからが虚構か、それは読み手が想像すること。
ひとつの物語として、読んでよかった本になりました。