久しぶりの雨の月曜日。またひとり、同年代が逝ってしまった。

今朝は、とつぜん咳が出始めて、ゴホゴホの苦しさで目覚めました。

温度差に弱いので、この時期になると、毎年こんなことに襲われます。花粉も飛び始めているし、身体の中では新しい対策活動が始まっているらしい。

去年の今頃は何をしてたのか、たどってみると、やはりこんなこと。

でも、こういう体調ということは、明らかに春が近づいているということで、それはそれでうれしくもあります。

この峠を越えれば、春だぞ〜。

季節の変わり目はどうにもダメです。それは、わたしだけじゃないよね。全国民的にそうだよね。

ふと、１年という時間を思います。

長いようでもあり、短いようでもあり。

どうしても時間を捕まえることができない。

ただ流れていってしまう、不思議なもの。

過去のこともイメージとして残っているだけで、正しい記憶なんてあろうはずもないのです。

考え出すとキリがありません。

昨年のちょうど今ごろのことでした。

まだコロナ騒ぎもそれほどではなく、暖かい日にはみんながマスクなし散歩を楽しんでいました。

そんな散歩中にたまたま出会ったご近所のＳさんが、笑いながらこんな話をしてきました。

「もう再発しちゃってさ」

深刻な話なのに、あまりにあっけらかんと言うので、どう答えていいのか本当に困りました。

Ｓさんとは同じ年齢。

会えば世間話をする間柄で、顔見知りのご近所さんというよりは、ほんの少し親しい関係にあります。

その３ヶ月前に発見されたというＳさんのガン。

以来、会うと手術のことやら抗がん剤のことやら、話してくれました。

わたしが夫をガンで亡くしていることを知っているので、話しやすかったのかもしれません。

病気のことだけでなく、歩きながら、いろんな話をしました。

あれから、１年。

Ｓさんとは再び会うこともなく、たぶん入院しているのだろうと思っていました。

そして、おとといの午後のこと。

カメラをぶら下げて、川のほとりに立っていたら、超老犬ゴンちゃんを連れたＳさんのご主人から話しかけられました。

「カワセミ君、さっきまでそこにいましたよ」

ゴンちゃんを優しく引っ張っているご主人。ゴンちゃんは本当にヨタヨタしていて、歩くのがやっとという状態。

３人で話をしたことはありましたが、ご主人と２人で話をするのは初めてのことでした。

思い切って聞いてみることにしました。

「奥さまは入院しているのですか？」

すると、こんな返事に驚きました。

「昨年の８月に亡くなりました」

再発してから、進行が早くて、半年で逝ってしまったんだとか。コロナ禍ということもあり家族だけで見送ったのだそうです。

看護にもいろいろ制約があったけれど、なんとか病院で彼女のそばで寝泊まりしながら看取ることができたのだそうです。

仲良しだったもんね。

ガンが発見されてわずか9ヶ月。

１年という時間の重さを感じます。

最後の１年は晩年と言われますが、今年が自分にとって晩年になるかもしれない。それれこそ、誰にもわからないこと。

ゴンちゃんは人間の話に付き合いきれなかったようで、道端で眠ってしまいました。

最後にＳさんに会った日のことを思い出して、彼女がもうこの世にはいないということが実感できずにいます。

思い出というには、あまりにリアルな姿しか思い出せなくて。

背筋がシャンと伸びたＳさんが、スタスタと歩く姿とか、さっそうと自転車を飛ばしている姿しか思い出せなくて。

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