散歩を始めたきっかけは、猛獣からの逃避だったという話

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朝の5時半、散歩に出た。

前の日に散歩できなかったので、空を見たいと思った。

家の中にいることが好きだけれど、閉じ込められるのが苦手なので、外の空気を吸わないと息が詰まるような気がしてくる。

一日に一度は外に出て、空を見て、風に吹かれたい。

橋の真ん中から、川を眺めてみた。

きょうは空と川の色が同じだ!

遠い先でつながっているように見える。

毎日、同じようで、同じではない風景。昨日との違いを見つけるのも面白い。

散歩歴も、いよいよ長くなってきた。

「40歳になるんだなあ」

歩きながら、そう思った記憶があるので、たぶん20年以上歩いているのは間違いない。

ところで散歩を始めたきっかけだけが、それは自分の世界に没頭したかったからだ。健康を思ってのことではない。

40歳のころ、家の中には猛獣が2頭もいた。

中学生くらいになってくると、男の子は大きさも増して、実にうっとおしい存在になる。

わたしの身長を越えたら、もう守ってやる必要はない。ただうっとおしいだけ。

動物園状態は10年ほど続いた。

2人は殴り合いのけんかもよくしていたので、身の危険を感じて暮らしていた。けんかの仲裁には木刀を持って入っていた。

家の中にいると「かあちゃん、早く!」とか「おい!」とか呼びつけられる。

ささいな用事でも呼びつけられる。ああ、めんどくさっ。

そのうち2人の気配を感じるだけでも、イヤになってしまった。

自分だけの時間を持ちたかった。

自分だけの時間というが、実はただ音楽を聞きたかっただけ。

当時大好きだったミュージカルの曲をゆっくりと味わうためには、猛獣のいる家は不向き。

集中するためには家を出るしかない。

しかし近所におしゃれなカフェもない小さな町。

どこで聞けばいいんだ?

そして試行錯誤の果てにたどり着いた。

“歩きながらの音楽鑑賞”

川のほとりの歩道は車が入れない。そこを徘徊し続けても、誰からも文句を言われないし、お金もかからない。

当時はポシェットにMDプレーヤーを入れて、担いで聴きながら歩いていた。

「オペラ座の怪人」「キャッツ」そして「モーツァルト!」

これらは、暗譜するほど聞いた。

長時間聞き続けたら、耳が悪くなると分かっていても、やめられなかった。

初代ipodが出てきて音楽の持ち運びは便利になり、歩くのが楽になった。

MDウォークマンから2台のipodを経て現在はWALKMANを愛用中。

耳は・・・遠くなっていると思う。

最近、聞きづらいことがよくある。

でもこれから先は、大事なことだけ聞き取れればいいので、問題はない。

聞きたくないことは「えっ?」でごまかせばいい(笑)

猛獣たちは去った。

だが、ひとりになった今でも、このクセは直らない。家の中でスピーカーで聞くより、イヤホーンでこっそり聞くのが大好きだ。

音楽を聴きたいので、歩いている

これがわたしの散歩の原点。そして完全に趣味化した。

今は山下達郎なんかをよく聴いている。

音楽を聞いていれば、いつでも20代にでも40代にでもなれるし、アメリカへも大阪へも飛んでいける。

記憶は音楽と強く紐づけされている。頭の中くらい自由な場所はない。

「あの日のこと」を思い出したかったら、「あの音楽」を聞けばいい。即、その時に飛んでいける。

もし寝たきりになったとしても、このクセは案外役に立つかもしれないと思っている。動けなくても、頭の中には広い世界がある。

わたしのように何かを聞きながら歩いている人を見かけると、何を聞いているのかしらと、頭の中をのぞいてみたくなる。

同じだったら運命を感じる・・かも?


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4 件のコメント

  • 私も聞きながら散歩派です。
    携帯ラジオでは、英会話や文化講演会、漢詩や古典講読。
    ipodは、その時に好きな曲や落語。たまに資格試験の講座。
    とても手軽でハイスペックな友人だと思っています。

    • となりまちさん。
      本当に手軽な友人ですよね。
      それにしてもとなりまちさんの趣味は幅広い!
      わたしも幅を広げたいものですヽ(^。^)ノ

  • りっつんさんはじめまして。
    つい最近こちらのブログに出会い読ませていただいてとても同感することがあり楽しみにしています。私も同じさいたまに住んでいます還暦を迎えました。
    お散歩りっつんさんみたいに気軽に楽しめなくて・・。
    30代の頃お仕事帰りの夕方(まだ、周りは明るかったです。)後ろから自転車に乗った男に後ろから流行りのソバージュロングヘアを思いっきり引っ張られ、何が起きたか声も出せず怒りと痛みに身体が硬直しました。その後、50代になって流行りのアイポットで音楽を聴きながら自宅に
    向かって歩いているとき後ろから自転車に乗った中学生にお尻を触られ、その時は子供だったので
    怒りで追いかけましたが相手は自転車だったので逃げられました。
    そんなことはとうの昔のことですが頭のどこかに残っていて何となく一人お散歩は出来ずにいます。まして、音楽を聴きながらだと周りの気配すら分からないので怖いのです。運動不足になるのでたまに、ジムでウォーキングしますが周りは私より元気な70代のシニアに圧倒されます。
    りっつんさんのように楽しみながら気持ち良く歩けたらなぁと思いました。

    • rinoさん。
      初めまして。コメントありがとうございます。
      さいたま・還暦!同じですね。
      コメントを読ませていただいて、わたしも若かりし頃の怖い体験をいくつか思い出しました。
      今でも後ろに人がいると、こわいです。
      我が家は埼玉でも田舎町。川のほとりは人も少なく安全地帯なんです。
      そんなことで、この家、大好きなんです。
      歩けなくなったら、引っ越しちゃうかもです。ヽ(^。^)ノ

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。