この本は26歳の若者代表の古市くんと63歳の社会学者の上野千鶴子さんの対談形式の本ですが、現代をわかりやすく解説してある「良本」でした。
古市くんは好きじゃないけど
古市憲寿くんはウィキペディアでは「作家」という肩書きになっています。実ははっきり言って、苦手です。テレビでの発言を何度か聞いたことがありますが、ちょっとアレルギーでした。
しかし・・・
ある夜、いつものようにKindleで立ち読みして、サンプルを読んだところ、「面白い!」ということで購入したのが、『上野先生、勝手に死なれちゃこまります』でした。
大変、勉強になりました。
- 若い人たちが親世代に対してどんなことを思っているのか。
- 現在の介護システム
- 老い方
- 家族というもの
こんなことが会話形式で書かれているので、婆にも大変にわかりやすかったです。
若い世代の不安
古市くんの親は団塊世代ということで、上野先生と同年代。
若い世代の代表が古市くん。そして親世代の代表は上野先生。
上野先生は団塊世代の子育てについて、こんなことを言っています。
我々の世代は、一生子どもでいたいっていう世代を育てちゃったんだね。その子どもたちが親にパラサイトして、一生子ども部屋から出て行かないのは当然だ。
そこで一番決定的なことは、親が加齢にともなって、社会、経済、身体、精神的に、庇護者の座から滑り落ちるってことなのよ。
これは団塊世代に限ったことではなくて、団塊以降の親はそういう傾向になっています。つまりわたしの息子たちも同じような思いを抱いているのです。
上野先生の定義する庇護者とは「無条件の贈与をする誰かを抱えこむこと」だそうです。
子どもはいつまでも子どもでいてはいけない。だけど、子どものままでいさせたい親がいる。その親の期待に応えているのかもしれません。そのほうが楽かもしれないし。だけど時は止まらない。親は確実に老いて、そして死を迎える。
気づけば、子どもはすでに高齢。子どもたちはただ戸惑うだけという図式になってしまうというのです。
子どもたちの不安は何か自分が庇護者にならなきゃいけない不安。我が家の息子たちもわたしの庇護者にならなくてはいけない時がくる。
子どもの立場になってみれば、多分不安はあるだろなと思いました。
お金は重大案件
お金ですべてが解決するとは思えませんが、お金で解決できることが多いのは事実。
わたしの父親は最後までお金のことを明かしませんでした。そしてそれが相続トラブルの遠因になったのです。わたしは同じ失敗をしたくないと思っています。
ですから、子どもに、少しずつ、お金の話をしていくことを決めました。自分の財産を明かすというのは、勇気のいることです。
しかし、次世代を信頼せねばなりません。
息子たちには、庇護者になってもらう覚悟もプレゼントしようと思います。
わたしを庇護するために、子どもたちが負担しなくてはいけないものは何か?
お金なのか、人手なのか。子どもらがアテにできるものは、果たしてあるのか?
年金は家族革命
老人が子どもを頼らずに自立できるありがたい社会になったのは「年金」制度ができたからです。上野先生は「年金は家族革命」だと言っています。
年金がなかった数世代前は、老いては子の収入に依存するしかなかった。親子の関係も変わらざるを得なかった。ですから、確かに年金制度は家族の形を変えたのです。
年金は「社会的仕送り制度」です。
それぞれの実の子どもから貰うのではなく、子どもたちのお金を集めて、配られているものです。だた、そこに実の子の存在を消したことで、何かが見えなくなっただけ。
年金のおかげで、直接的には子は親の庇護者である必要がなくなったのです。
どういう親子関係が理想的なのかは、よく分かりません。そもそも別に理想的でなくてもいいわけですし。
もともと親子関係は時代に合わせて制度が作られ、変遷していく中で関係自体も変化していくもの。モデルになるような普遍のカタチはないのです。
現在のカタチも、いずれ変容していくはずです。
それぞれの時代の中で、人々は関係のあり方を模索しなければならないのです。別の言い方をすれば、「どうあらねばない」ということもないのでしょう。
自分たちが居心地のいいようにしていけばいいだけ。だから、わたしはわたしなりの家族関係を構築しようと思っています。
今、そこそこに元気な親と、まあまあな状態の家は遺産にはならない。
キモに銘じなくてはいけませんね。親世代も子世代も。
対談集ですが、老後を迎えるにあたって参考になることが、大変分かりやすく書かれています。一読をお勧めします!
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