庭の木を切りながら、父の子であることを思う。

みちのく支店が建つ町では、家の周りは塀を立てずに木で囲むという決まりになっています。

景観と地震対策のようです。

みちのく支店の家の周りには、ベニカナメが植えられています。

これからの季節、延びるスピードが早いので、切り揃えておくことにしました。

植木バサミを持たせたら、ウキウキるんるんです。木を切り揃えるのが大好きなんですもの。

 

30年前の見たくない庭。

30年ほど前の夏、我が家は庭付き一戸建てに引っ越しました。

プロにお任せした素敵な庭もできあがりました。

当初、リビングの先には白いウッドデッキがついていたので、高原をイメージしましたと庭のデザイナーさん。

確かに、まるで高原!

きゃ〜ステキ!

しかし庭というものは、その状態がとどまるということはなし。日々変化するもの。なんと、手入れが必要だったのですねえ。

小学生の息子たちにも手がかかる、在宅ワーク持ちの主婦。そして夫の死。ますます庭なんてどーでもよくなってしまいました。

“猫に小判、豚に真珠、りっつんに庭”

見たくない状態になるのに、それほどの時間はかかりませんでした。

ウッドデッキのメンテナンスもかなり厄介。結局、ウッドデッキは夫の死から数年後に撤去。

庭が広くなった分だけ、今度は雑草がズンズンと生えてくる。

乱れるだけならいいけれど、木の枝が混んでくると、毛虫が発生するので不安が増える。

厄介が厄介を呼び、別の厄介も発生して、厄介の3乗。

憂鬱の風が吹き抜ける庭、へい、一丁上がり!

 

ウルトラの父?

と、そのときに救世主となってくれたのが、実家の父でした。

ウルトラマンより到着するのに時間はかかるけど、3分以上は確実に働いてくれる。

我が家の窮状を知って、時間が空くと車に剪定道具を積んで、高速飛ばしてやってきてくれました。

母も一緒に2日も作業すれば、ピカピカの庭によみがえり〜。

「手を出さなくていいからね」by 父

ウキウキと庭仕事をしている父。

なにがそんなに楽しいんだろうと不思議で仕方ありませんでした。

それでも、持ち主の娘への遠慮があるのか、家の中で仕事をしていると呼ぶ声が聞こえます。

「お〜い。この枝は切ってもいいか?」

「どんどん切って〜」by 四十路のりっつん

そんなことで、何度も呼びかけなくていいからと、心の中では思っていました。

でもね、なんであんなに呼んでいたのか、いまなら、分かる気がします。

 

そして、いま、息子の庭で

時は流れて、2022年の春。

六十路も半ばに差し掛かかってしまったりっつんが立っているのは、みちのく某所の息子ん家の庭。

木の声を聞けとばかりに、木々との会話を試みる。

“美しゅうなあれ、美しゅうなあれ〜”

近くに寄ったり、遠目で見たりと、庭師の風格なきにしもあらず(笑)

“この枝は要るのか、要らぬのか。教えておくれ、へいへいほ〜”

そうだ、木ではなくて、息子に聞いてみよう。

「お〜い、この枝は切ってもいいか?」

「好きに切ってくれ!」by 息子@家の中

父の姿を自分の中に見て、苦笑い。あのときの父とわたしが姿を変えて、ここにいる。

一度も庭をきれいにしなさいとは言わなかった父。もともと口数の少ない人でした。

でもきれいな庭の作り方を、あの大きな、そしてとても器用な手で、ちゃんと伝授していってくれたのです。

家の中でパソコンを打ちながら、着々と美しく整っていく庭を見て、しめしめ、ラッキ〜と思っていたわたし。

でも実は横目を使って、ちゃんと学んでいたのです。

 

息子のひと言

「いつか、自分も庭仕事やるようになるのかな」

と、息子が、ぽつりと一言。

庭仕事をしている息子の姿なんて、想像もできません。

だけど、そのうちやるようになるんじゃないかしら。

そもそも町から少し遠くても、庭のある家を選んでいる時点で、庭が好きなんじゃないかしら。

思い出すと、父も年をとってから庭仕事に精を出すようになりました。わたしが嫁ぐころはまだ稼ぐことに忙しく、庭どころではなかった。

そしてわたしが庭仕事が楽しいと思えるようになったのも、年をとってからのこと。

そしてさらに思い出したのは、石巻に住んでいた祖父のこと。広い庭に大きな池を掘って鯉を何匹も飼っていましたが、自分での庭の手入れをし続けていました。

父は祖父から庭仕事を学んだのかもしれません。

祖父、父、わたし・・・。

名前のつくような技ではないけれど、庶民の小さな日常は、こうして継がれていくのでしょう。

さあて、やるゾ。

息子にねだって買ってもらった切れ味のいいハサミを握るぞ。

今日も木を切る、へいへいほ〜♪

腕前を見込まれ、にわか庭師となり、参上!

2021年4月29日

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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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4 件のコメント

  • りっつんさん、こんにちは。
    祖父~父~わたし…「100年の物語」はここにもあったのですね。
    鼻の奥がツーン、胸がキーンと(キュンでなく)なりました。
    こういう文章を書ける りっつんさんの感性は 多くの方がそうであるように 私も大好きですよ~。
    いつも ありがとうございます!

    • ほっこり〜なさん

      こんにちは♪

      お褒めいただいて、光栄です( ̄^ ̄)ゞ
      嬉しいです。
      名も無い庶民の1ページ。
      父も祖父もきっと幸せを感じていたと確信しました。

  • 年を取ると庭仕事に精を出すように──
    っていうの、同感です♪
    仕事の鬼だった舅が勇退後には土弄りや援農を始めたことを友人と話していたときに返ってきた言葉、
    「そうそう!歳を取ると 土 に 還 る よね〜」
    えっ!∑(゚Д゚) そして 大爆笑。
    もちろん言わんとするところは充分伝わっていましたよ。でも(笑)
    土に還る…たしかにそうだけど(๑˃̵ᴗ˂̵)
    ちなみに私は今のところ土を弄りたくなる兆候はないです。切り花は欲しますが。
    りっつんさんはご長男家の強力な戦力ですね!
    頼もしい!

    • デイジーさん

      こんにちは
      確かに、土に還るわ〜
      還る前に土に親しむ!悪くないねっ(笑)

      デイジーさんは、まだまだ先があるのよ、たぶん!

      姑業は隙間産業と心得ております。
      若い人たちの手が回らない所に手を回す。
      案外、喜ばれます(笑)

      剪定しているときは、びっくりするような大真面目な表情で、
      真剣にハサミを動かしております。

      来世では、庭師をやってみたいかもヾ(@⌒ー⌒@)ノ

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。