2月には、父を思い出す日が2回もある

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父が亡くなって何年になるだろう。

亡くなった日は2月16日だったけど、それが西暦何年だったのか、平成何年だったのか、思い出すのには少し手間がかかる。

2月7日の父の誕生日には、ニューヨークに住んでいた息子たち家族が、パソコンの画面から歌を届けてくれて、あの時に2番目の孫娘はまだ赤ん坊で、あの子は2013年生まれだから・・・

ああ、あれは2014年のことかと、やっと記憶の糸がたどりつく。

毎年、毎年、これを繰り返している。

どうにも、父が逝った年を覚えられない。

なんだかつい最近のことのようで、現実感がないのだ。もちろん寂しいとか、そういうことではない。どこかに置き去りにしてきたような、そんな感じ。

 

父との思い出は少ない。口数の少ない、昭和の男だった。

印象に残っている姿といえば、雪の降る早朝にほおかむりをして、自転車を漕いで出勤していった姿くらい。

こんな寒いのに、この人、すごいなと思った小学生の娘。

ほんとうによく働く人だった。自分の置かれた場所に、なんの疑問も持たなかったのだろうか。愚痴を聞いたこともなかった。

中学しか出ていなかった父だが、背が高くて、運動が得意だった。もう一言添えれば、なかなかのイケメンだった(笑)

身体を張って働くことだけが自分の役目だと、固く信じていることを、その背中からいつも発していたように思う。

 

父の2回の記念日は、どちらも2月。

父の生まれた昭和3年の2月の石巻は、雪が多かったんだろうか。

父の逝った2014年の2月の仙台には、類まれな大雪が降った。

庭には1メートルくらいの雪山がいくつかできた。

「こんな雪、始めてだな」

寒いのにベッドから起き出してきて、点滴をぶら下げたまま、自慢の庭が雪で真っ白になってしまったのを、窓越しに見ながら言った父。

なんでベッドから出てきたのかといえば、お気に入りの看護婦さんが、無事に到着できるかと、心配だったから。

お気に入りじゃない看護婦さんのときには、寝たふりをする父。そんな感性は残っていたらしい。

元気だったら、雪かきの陣頭指揮に立っていたはずだ。

 

86歳と10日で逝った父。

わたしの進路に対しても無関心だった。いや、無関心に見えたけれど、実はどうアドバイスしていいのか、分からなかっただけだろう。

心の底では思うことがあったに違いない。だけど、ひと言の口出しもしなかった。

だからこそ、わたしは自分の手で道を拓いてこられたのかもしれない。アドバイスもなかったけれど、道を塞ぐことをしないでくれたから。

両親が本を読んでいる姿も、ほとんど見たことはなかったけれど、なぜか子供の頃から本が大好きで、日本語を扱う仕事についた娘。

まさか、娘がこんなことを書いているとは、あの世できっと驚いているんだろうなあ。いや、きっと照れているだろうな。

庭の木を切りながら、父の子であることを思う。

2022年4月10日

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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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8 件のコメント

  • りっつんさま

    在りし日を思い出す時間を持つことで、お父様はまだ生きていると言えますね。
    自分が年齢を重ねることで、父親への印象や思いも変化しているように感じます。
    私の父はまだ健在ですが、今日のりっつんさんの文章をきっかけに、
    父が若かったころ、私が子どもだったころのことを思い出し、改めて感謝の気持ちを持ちました。
    あの世で照れているお父様のご様子を思い浮かべると少し楽しく思えますね。

    • ゆちまこさん

      こんにちは!

      父はわたしの中で生きている。
      そぅ思えるようになりました。
      いろんな思いがありますが、
      父はそうするしかなかったのだろうと納得。
      それぞれの人生に思いを馳せられる自分。
      そんな年になったのだなあと、しみじみ思っています。

  • りっつんさん、こんにちは。
    お父上様の御命日に手間取る、よく分かります。
    私の亡き父もお父上と同じ2014年に亡くなったのですが、命日が1月12日のため、2014年だったか2012年だったかふと考えてしまうのです。
    またりっつんさんと同じなのは、父の誕生日も1月1日で、1月は父にとって大切な日が2回あるということです。
    父は81歳と11日で亡くなりました。りっつんさんのお父上様は長生きされたのですね。
    大好きだった父を思う時、今でも胸が熱くなります。

    ところで、可愛い怪獣君の襲来により、壊れた街の復興は進みましたか?
    ネーミングがりっつんさんのオリジナルと分かり、益々面白いです。。

    • suzumeさん

      こんにちは!

      分かります、分かります。
      夫の没年がそうです。
      平成6年だったので、1996年と思ってしまうのですが、1994年。
      よく混乱します(笑)

      50歳を過ぎてから心臓が悪かったので、
      よく86までもったなあと思います。
      長生きでした。

      壊れた街の修復、手間取りましたよ。

      怪獣は家に帰ってから、母親に、
      「ばあばの家を壊してきた!」と。
      つまり確信犯(笑)

      電気配線をしたものは、
      今後は隠そうかなと思っております。

  • りっつんさま

    コメントさせていただくのは久しぶりです。
    昨日は心震える(⬅もちろん良い意味です)群馬県桐生市の文字!
    桐生市出身のmingoです。

    今日は外出した際に、お買い物帰りと思しきご高齢のご夫婦を見掛け、2019年の10月に、あと3週間ほどで93歳になるというときに亡くなった父と、桐生のPan&の近く(番地の上二桁まで一緒でした!)の施設に居る、来月94歳になる母のことを思い出していました。
    道ですれ違ったご夫婦が、特段両親に似ていたわけではないのですが、二人でよく一緒に歩いていたなぁ…と思い出して、なんとも切ない気持ちになっていたところでした。

    最近、夕方過ぎにブログを読ませていただくことが多く、私にとりましてはとてもタイムリーで胸が熱くなりました。
    りっつんさんの思いと重なるところが多かったのだと思います。

    いつも、楽しい気持ちにさせていただいたり、今日のようにどうしようもなく切ない気持ちを癒やしていただいたり……心から感謝しています。
    本当にありがとうございますm(_ _)m

    これからも引き続き、りっつんさんのブログを楽しみにしています。
    願わくは、配当株教室&社食料理教室&体操教室……開講してブログで募集してくださらないかと、密かに思う今日このごろです。

    • mingoさん

      こんにちは!

      実はまだ桐生には行ったことがないのです。
      でも、今年はぜひ行こうと思っています。
      大好きな洋服屋さん「リップル洋品店」を目指します!

      わたしも高齢のご夫婦を見ると、両親を思い出すことがよくあります。
      切なくなりますよね。

      株の教室なんて開いたら、危ないよ〜(笑)
      今も欲しい株があるのだけど、かなり怪しい株で。
      そういう株を我慢して、高配当株を買ったので、
      いつか爆発して、バクチ株をポチするんじゃないかって、
      自分の指先を心配しています(笑)

      でも、そんなふうに思ってくださってるなんて、
      本当にありがとう!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

  • 心にしみいる記事です。
    ありのまま思い出してぽんっと丸ごと受け容れることは、きっとよいご供養になるんだろうなと感じました。(供養とはあの世の方の為になることと捉えています)
    私も姐さんの達観した目を通して、我が父を見直す機会となりましたm(_ _)m 昨年13回忌でした。

    姐さん(と私)は子丑天中殺グループに属します。
    (四柱推命ではみんなどこかの天中殺グループに属します)
    子丑さんは初代運。
    親から家を受け継ぐのではなく、早く巣立つのが人生を切り開く前提らしいです(^_−)−☆
    私の場合、親との縁が薄いのですが、
    それは薄情なのではなく宿命に適っていると知ったとき、なんだか安心しましたです(笑)。

    • デイジーさん

      こんばんは♪

      初代運ですか。

      “親から家を受け継ぐのではなく、
      早く巣立って人生を切り開く”
      なんだか納得できました。

      そういうことだったのか〜(笑)

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。