我が家のテーブルと椅子に関する物語

たまたまテレビに映った椅子。

おっ!見たことあるぞ!

なぜかテレビに映ると、うれしいものです。なんででしょうねえ。よくわからないけれど、知ってるモノが映るとうれしい。

取り急ぎ、カメラでパチリ。カメラはいつでもそのへんに置いてあります。わたしの記憶の相棒です。

 

あれは、同じ椅子だ!

BSPでやっている古い朝の連ドラ『あぐり』の1コマ。

どこかで見たことのある椅子が、レトロ感たっぷりなお店に置かれていました。

この椅子、かつて我が家にあったものと同じです( ̄^ ̄)ゞ

『あぐり』が放映されたのは、1997年のこと。

我が家がこの椅子を購入したのは、たしか、このドラマが放映される10年くらい前のことでした。

 

破壊された椅子

結婚したときに、わたしたちはテーブルを1つと椅子を2つ購入しました。背の部分が藤で編まれたおしゃれな椅子でした。

当時仙台には、”家具の町”という家具屋さんが軒を連ねる町があって、そこで購入。ちょうど今くらいの季節でした。

これに座って、2人でおしゃれなご飯をゆっくり食べよう。

おそらくそんな理想を抱いて購入したに違いありません。

しかし、2人だった家族はあっという間に4人に増え、おしゃれな食卓など夢のまた夢。

そして幼な子のうちの1人がとんでもない破壊魔だった!

ヨチヨチと歩けるようになると同時に、各種のいたずらが始まりました。

その1つ。

藤で編まれた背の部分に、えんぴつを突っ込み、少しずつ穴を広げ、ついには大きな穴を開ける。

せっせと穴開け作業をしていたのは、次男。すばしっこくて、手の込んだいたずらをするかなり迷惑な子どもでした。

なにしろ今で言うところの完全ワンオペ育児で、なかなか目が行き届かない母親。

気づいたときには、修理不能の状態に陥っていました。

仕方なく座っていましたが、なんか、楽しくはなかった(笑)

そして、とある春、あることが巡ってきたのです。

 

見栄をはる、春

あること。それは、家庭訪問

息子が通い始めた幼稚園には、担任の先生が園児の家庭を訪問するという行事がありました。

幼稚園にも家庭訪問があったとは!です。

ここで、むくむくと頭をもたげてきたのは「見栄」というやつ。

こんな汚い椅子は、あまりにカッコ悪い。

夫の収入もそこそこ上がってきていたので、ここは見栄を張ろうと、椅子を買い換えることにしました。

ルンルン出かけた、たぶん土曜日か日曜日。田園都市線たまプラーザ駅前にドンとそびえる東急百貨店。

当時は、たまプラより3つほど渋谷寄りの町に住んでいました。

そして見つけたあの椅子。

そりゃ、椅子だけでなく、お揃いのテーブルも欲しくなるというもの。勢いでテーブルまでもお買い上げ。当時はバブルと呼ばれる時代でした。

いくらだったのか、値段は忘れたけれど、そこそこの値段だったはず。

あの時には、その後のわたしたちに起きることなんて、まったく予想もせず。あんなことが起きるなんて、露ほども思わなかった30歳になるかならないかの、わたしたち。

根拠なく、明るい未来を信じきっていました。いま思えば、あのあたりが、4人家族の幸せの頂点だったのかも。

そこから、わずか数年で、とんでもない事態になりました。いやいや、数年どころか、夫にがんが見つかったのは、翌年のことでした。

人生なんて、あしたに何が起きるか、本当にわからない。あれから、そのことはいつでも頭の隅っこに置いてあります。

絶好調なんて、怖いだけ。少し不調くらいが、心地よし(笑)

そして、

何が起きても驚くな!

気が付いた時には、そう、言い聞かせています。

 

新しいテーブルと椅子

さて、先日いらしたお客様にこんなことを聞かれました。

「なぜ丸いテーブルなんですか?」

現在の我が家は丸いテーブルで、『あぐり』と同じ椅子でもありません。

丸いテーブルの家はそれほど多くはないので、気になったのでしょう。

答えは・・・

欠けた感じを消すため

です。

夫は28年前の6月1日に、この世を去りました。

夫が亡くなって1週間ほどして、我が家は静かな家に戻りました。夫の死の直後、たくさんの人が出たり入ったりしていたので、夫がいなくなったことを実感せずにいました。

それが初めて3人だけの食卓になったときのこと。

あそこの椅子にいつも座っていた、夫であり、父であった、あの人がいない。

夫の席だけポツンと空いている。

愕然としたことを思い出します。

これから、ずっとこの形なのかと思ったら、なんとも言えない気持ちになったものです。今でもあの時のことを思い出すと、ほんの少しですが胸がピリッとします。

それは、日が経つほど、強く感じるようになりました。

気分を変えよう。

夫の納骨が終わると、すぐに、テーブルと椅子を買い換えることを決めました。

まずは形を変えよう。

選んだのは、直径150センチの大きな円形のテーブル。

何人が、どんなふうに座っても、いいから。つめれば8人くらいまでは座れます。

そして、四角でないと、目立たないのです、夫のいない感じが。

こうして丸いテーブルを囲んでの、3人での新しい暮らしが始まりました。

わたし36歳、長男10歳、次男9歳の夏のことでした。

あれから28年。

使い込まれてすっかり傷だらけです。椅子は何度も貼り替えています。

晴れた午後には、家具職人になったり庭師になったり。

2021年4月21日

 

テーブルと椅子は第二の人生を

では、あの見栄で買ったテーブルと椅子は、どうなったのか。

しばらくの間、屋根裏に上げてありましたが、10年前からは第二の家具生を過ごしています。

長男夫婦が所帯を持ったときに、使うよと言ってくれて、持って行ってくれました。

傷んでいるところもありましたが、事情をよく知るお向かいのご主人が部品を買ってきて修理して、東京の新居まで運んでくれました。

息子の家に行くと、あの椅子に座って、賑やかに食事を楽しんでいます。

あの椅子がテレビに映ったのは、命日の前日のことでした。

これももしかすると、あの世からのシグナルかもしれません。

忘れてないってば!(笑)


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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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16 件のコメント

  • 丸いテーブルのわけ 何十年まえのことでも胸がじーん 鼻がちーん 
    遠い昔話じゃないですね 

    りっつんさんのブログ 文章 話題の選び方 大好きです
    毎日楽しみにしております  ずーっとつづくことねがってます

    • なとりさん

      おはようございます。
      好きと言っていただいて、うれしいです!

      書けるだけ書こうと思っていますヾ(@⌒ー⌒@)ノ

  • りっつんさん おはようございます

    欠けた感じを消すため

    そうでしたか…
    胸が詰まりそうになったのは、私だけではないと
    思いますよ。
    大きな丸いテーブル素敵だなと思ってました。
    確かに家族が増えても減っても融通がききますよ
    ね。
    たっくんが角で頭ゴッツンとしなくていいし(笑)

    • 相棒さん

      おはようございます。

      丸いテーブルは融通がきくのは確かです。
      角の心配がないのも、確かにグーですね。
      しかし、思いの外、場所をとるんですよ。
      スペースを生かそうと思ったら、向かない家具です。

  • 今日のお話も、とてもよかったです。
    丸テーブルにはそんな理由があったのですね。未亡人生活三年目ですが、主人の座っていた椅子はまるでリザーブされているかのごとくそのまま。何故かダイニングにまだ居て欲しいような願望があります。きっと事故で出先で突然亡くなってしまったので気持ちが切り替わらないのか、手をつけたくないのか、めんどくさいだけかわかりません。たまプラで買われた高級家具、第二の家具生を賑やかに過ごされているんでしょうね。
    私とりっつんさんの人生を年表比較(勝手に)してみたら、りっつんさんがたまプラで家具を買った時期に、私は、新婚生活をたまプラのずーっと奥のつくし野で過ごしておりました。まだ、共働きで、大手町まで電車通勤をしていました。週末は、たまプラやニコタマなんかに主人と車で出かけたり、若くて幸せな時期だったなぁと思い出しました。何処かでりっつんファミリーとすれ違っていたかもしれませんね。
    人生、何があるかわからないもんですね。

    • まめぴよさん

      おはようございます。
      たぶん、長く過ごされていたからでしょうね。
      わたしはとにかく新しい暮らしにシフトすることばかりを考えていました。
      夫との思い合いを、もっとじっくりと味わってやりたかったなあ。

      つくし野ですか。あの線はメルヘンな名前の駅も多いですよね。
      二子たまは、さらにワンランク上の物価でしたね。
      もしかすると、本当にすれ違っていたかもですね。

      明日は明日の風が吹く〜

  • りっつんさんの文章、とても好きです。私もブログを始めてみたくなりました。いつもありがとうございます。

    • 美穂さん

      はじめまして。
      ブログは、社会に対しての小さな扉になります。
      もそれから、自分の心の中の窓にもなります。

      ぜひ、チャレンジしてみてください。
      自分の決心だけではじめられるのもいいところです。

  • いつも拝見させていただいています!
    丸いテーブルが家族の団らんになっていたんですね!
    素敵な思い出ですね
    さて、りっつんさんのブログのように上手く書けないか研究させてもらってます!いつもありがとうございます!
    りっつんさんのように毎日記事を書いています!
    日ごろは医療従事者として働いていますが、りっつんさんのアドバイス通りブログも楽しくなってきました^_^
    僕のブログに1ヶ月で10人も訪問してくれていました^_^
    そこで質問なのですが、ブログのレイアウトをもう少し見やすくしたいです。
    本屋に行ってもワードプレスの本はあるのですがcocoonの本はないです。
    ネットにはcocoonの取扱説明書はありますがcocoonの詳しい情報が書いてあるものはないのでしょうか?
    りっつんさんはcocoonではないと思いますが、りっつんさんのブログのように見やすくするには具体的な本などはあるんですか?
    もし具体的にあるのであれば知らたいです!
    よろしくお願いします。

    • 弘人さん

      おはようございます。

      わたしは「STORK」というテーマを使っています。
      たぶん、本は出てないかもしれませんね。
      「cocoon カスタマイズ」で検索してみると、
      いろいろな情報がネット上にありそうです。
      わたしもブログを解説して半年後に、
      初めてレイアウトを変えた記憶があります。
      イメージを作って、息子の手を借りてやりました。
      少しずつ形を整えて、今の形になっています。

      • お返事ありがとうございます^_^
        やはり本は出てないのですね…
        インターネットで調べながらやるしかなさそうですか!ありがとうございました
        これからもブログ楽しみにしています!

        • 弘人さん

          少しずつ変えていけばいいですよ。
          記事が増えてくると、
          ますますやりたいことが増えてきますよ。

  • あぐりが大好きで毎日楽しく見ています。チェリー先生の娘さんと燐太郎さんのシーンですね。すごく昔のことなのに野村萬斎さん演じるエイスケさんとあぐりの型破りな生き方が忘れられませんでした。再放送されることになり本当に良かったです。

    りっつんさんの言う通り、絶好調の時こそ気をつけないといけませんね。私も3年前は絶好調でした。子どもの進路が上手くいき、主人と子育ても終盤だねって言っていました。まさか2年後に娘が事故にあい障害者になり、秋には主人が亡くなるなんて思いもしませんでした。それからは本当に人生は何が起こるかわからないっと思っています。そして、「今」大切にするようになりました。

     主人と一緒に建てたマイホームで暮らすのが辛いので引越しをしたいのですが、子どもの学校やお金のことを考えると簡単には出来ないので、家具を変えるのはいいかもしれないですね。

    • viviさん

      はじめまして
      「あぐり」の2人は本当に型破り。
      あの時代にあんなふうに生きた人たちがいたことに感動します。

      いろんなことがありますね。
      いいことだけではないのですよね。
      でも、こうして、どんどん歩いてくると、
      人はみな同じかもって思います。
      いいことだけの人もいないし、悪いことだけの人もいない。

      家具を変えると、気分は大きく変わります。
      家を変えなくても、かなり違って見えますよヾ(@⌒ー⌒@)ノ

  • りっつんさんはじめまして

    私はもともと家具の製造、制作、販売の仕事をしていました。
    そして、先日りっつんさんの本も拝読させていただいていたので、
    このお話はすごーくビビっときてしまいました。

    私の勤めていた家具工房はお客さんとじっくり話込んでテーブルや椅子を選んでいく店だったので、
    それぞれ、家具と言ってもドラマがあるんだなと実感させられる仕事でした。
    りっつんさんのお宅も、今回のブログのタイトルどおりリアルで深い物語の家具たちなんだなと感じました。

    たまプラザでお買い求めになった家具、およその金額わかります、けっこうなお値段だったと思います。
    ドラマやテレビで使用する場合、細かくメーカーにこんな設定の場所で…と依頼が前もってありますので、
    作っている側もテレビで使われているのを見ると嬉しくなります。

    そんな立派な家具をスパッと変える(ちゃんと屋根裏部屋にしまっている)りっつんさんの行動力、思考力、に関心してしまいました。
    りっつんさんの本を読んでいても凄いなと思ったんです。
    見栄で買った家具の後日談と落ちもホロっとしちゃいました。

    • KUMAぐまさん

      はじめまして。
      家具って、本当にドラマがありますよね。
      家具は簡単には取り替えられません。
      だからこそ、暮らしを変える力もあるんだと思います。
      丸いテーブルにして、暮らしは明るくなりました。

      ドラマの裏側って、そんなことになってるんですね。

      息子たちに買った、背の高い椅子も、
      関西支店で花なんか乗せるのに使われています。
      木の家具、好きです。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    りっつん

    1957年生まれの60歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。好きなミュージシャンは山下達郎。 時々、3歩あるくとすべてを忘れる「とりっつん」に変身してしまう。