人を納得させるものは、言葉ではなくて生きざま。

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言葉の力を信じてはいるけれど、どこかでは言葉を信じていません。

言葉ではなくて、どう生きているのかという姿が、言葉以上に人の心に響くものだと思っています。

 

銀杯はスプーンに

先日、長男に義母から電話がかかってきました。

「銀杯が出てきたから、あなたにあげたい」by 鎌倉山姥

「おら、人がもらったご褒美などいらん」by 孫息子

「銀杯なのよ!銀よ、銀!」

「じゃ、溶かしてスプーンにして、売るわ」

「アハハ!楽しいわねえ」

と、まあ、こんな内容だったそう。

30年前に亡くなった義父は大学教授だったので、何かのご褒美で銀杯をもらったのかもしれません。

息子も遠慮がないので、好きなことを言うのだけど、それに対して義母もちゃんと受け止めているようで安堵します。

わたしが言ったら間違いなく問題発言となるけれど、孫が言うぶんには、笑い話になるというのも面白いです。

実は、最近、義母と息子の間にホットラインができました。

きっかけは、息子が「なんか気になる」と義母に電話をかけたことでした。

ある朝、ふと「生きてるよね」と心配になったのだそうです。もしかするとあの世の夫から、伝言を受け取ったのかもしれません。

「ばあちゃん、いつでも電話していいよ」by 孫息子

以来、義母は息子に時々電話をかけています。そして息子は老婆の一人語りに付き合っているみたい。仕事をしながら、聞き流しているそうです(笑)

86歳の足が不自由で、目もあまり見えていない老婆の一人暮らし。電話だけがわたしたちをつないでいます。

ちなみに義母の電話はダイヤル式の黒電話です。

 

まさに、やまんば!

義母は86歳。

とにもかくにも激しい性格ゆえ、誰とも折り合えず、現在は鎌倉の山の上で一人で暮らしをしています。

どれだけ激しい人なのかは、接した人でないとわからないが、接すればすぐ分かります。

現在、我が家以外と行き来がないことで推測してもらうしかありませんが、我が家との行き来と言っても、電話でつながってるレベル。

親とも、兄弟姉妹とも、実の娘とも、折り合えず。

もちろん他人だった嫁となんて折り合えるわけ、ありません(笑)

役所とも、病院とも、いわんやご近所などとも、折り合えません。友だちと呼べる人がいたのかどうかも、よく分かりません。

そんな義母が終の棲家として選んだのは、鎌倉の山の上。

70歳の時に、同居していた娘一家とトラブルの果てに、独居を決意。都内から鎌倉に居を移しました。

「海が見える所に住みたかった」by 義母

ついに1人の力で人生4度目の家を建てました。

どういうふうにことを運んだのか、詳細はわかりませんが、建築業者ともめ、役所ともめたことは承知しています。もめずに物事を進めることは、義母には不可能。

現在も、役所やご近所と、小さなもめ事を起こしているようですが、足が不自由になり出歩けなくなったので、激しくもめるまでには至らないので、少し安心しています。

義母は人が嫌いなわけではないのです。

ただ自分の主張が強すぎて、自分の意見に反する者を排除していくうちに、一人になってしまっただけ。

なにしろ、自分の常識がすべて。

だけど、その信念も貫けば、ひとつの道ができる。そんなことを教えてくれます。

それがいいかどうかは、別として(笑)

 

病院嫌いを貫く

ある意味、義母は納得して一人を貫いているので、そこには潔さがあります。

口先だけではなく、本当に実践しているのです。

「人の世話にはなりたくない」

だから、ヘルパーさんも入れない。家の中を這って移動しながら、自分の暮らしを立てている。

「◯◯をやってくれ」と、わたしに言うこともありません。たまに必要な物を買って送ってくれという依頼があるくらい。

ゴミ出しを役所に頼んでいるだけで、敷地内だけが生活範囲。必要な食材や生活用品は生協の宅配を利用。

義母がいよいよ動けなくなったら、対策を考えようと思うけれど、今現在、積極的に何かをする予定はありません。

それは義母の信念のある暮らしを壊すことになるから。そしてわたしには扶養の義務もないから。

こうなったら、最後まで勝手気ままを通し続けてほしいと願うのみ。

「病院なんてもってのほか!殺される」

なので、絶対に病院にも行きません。具合が悪いときには寝てるだけだそうです。その対策は、猫とほぼ同じ。

医療を信じていないのは、早くに息子を失ったせいかもしれません。

義母はいまだにこう言い張っています。

息子はがんではなかった」

「わたしなんぞの年寄りが医療費を使うのは税金の無駄」

言うのは簡単だけど、本当に実践するとなると、かなり難しいことだと、60歳を過ぎたいま、思っています。

義母の姿勢は暮らせればいいというだけ。健康かどうかも気にしている様子はありません。

ここまでくると、あっぱれとしか言いようがありません。

医療を信じないことが素晴らしいと言ってるのではありません。自分の信念を通すことが、すごいということ。人に迷惑をかけない程度で通せばいい。

 

つながっている

信念を通し続ければ、理解する人も出てきます。

義母の生き方に感動する日がこようとは、思っていなかったし、そして、それが孫にも伝わるなんて、意外な展開です。

義母が孤独を感じているかどうか、わたしは義母から聞いたことはないけれど、息子にはぽつんとこう言ったらしい。

「つながってるのねえ」

義母は孫が自分の息子にそっくりだと、言っているようです。確かにそっくり。姿形、声、そしてボス的性格。

この一言を聞いて、胸が熱くなりました。

義母の生き方は言葉ではなく、その生きざまで、わたしたちに何かを伝えているのだと思うようになりました。

わたしも還暦を過ぎ、ふと老いの不安が付きまとい、気弱になる日もでてきました。そんな時に義母の生き方が一人でも生きられると、励ましてくれるのです。

あの人がいて、あの人がいて、あの人がいて、わたしがいて、あの人が生まれてきて、あの人が生まれてきて、あの人が生まれてくる。

秋に思う、そんなつながり。

今生で会うべき人だったのかもしれません。


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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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2 件のコメント

  • りっつんさん、初めまして。
    未亡人つながりです。りっつんさんと
    共通点が多くて、ブログを楽しみに拝見しています。
    私も37歳で夫を亡くしました。12歳と10歳の男の子二人は、社会人になり、長男は3年前に結婚し、6月に初孫誕生の予定です。54歳未婚です。(^^)笑

    • 薫さん

      初めまして!コメントありがとうございます!
      37歳で未亡人、男の子2人とは、実に同じような境遇ですね。
      ああ、同じような人がいるんだと思うと、なんかちょっと胸が熱くなります。
      じわっ〜としました。
      新しい元号でのお孫さん誕生になりますね。
      お嫁さんのお腹は、もうだいぶ大きくなったかな。
      きっといろんなことを運んできてくれますよ。
      若いばあばとして活躍してくださいね!
      人生、これからです!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。