未亡人になりたての頃に教えてもらったしょうがご飯

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おはようございます。

今日も5時に起き出して、庭仕事。

咲き終わったアジサイの枝切りをしました。

2日も庭に出れば、かなりきれいになります。この庭の広さが、いまのわたしにはちょうどいいのです。

 

しょうがご飯の思い出

夏場、しょうがご飯をよく炊きます。

長い付き合いになっています。

思い起こせば、これを教えてもらったのは、30年近くも前のこと。

近所で小料理屋さんを営んでいた、親世代のWさん夫妻。

年齢も違うので、それほど親しいというわけでもなかったのですが、夫を亡くしたわたしを案じてくれて、時々おかずを持ってきてくれたりということがありました。

「店で出すのに、たくさん作ったから、食べて」

若くして未亡人になったわたしに、励ましの言葉をかけるわけでもなく、ただ、それだけ。

料理のプロなので、どれもおいしかった。

そのときにいだたいたもののひとつが、このしょうがご飯でした。

「簡単に作れるから、夏場、食欲がないときに、いいよ」

その温かさ、いまでも忘れません。

 

かわいそうな人

夫を亡くしたことで、人のいろいろな面を見ました。

夫を亡くしたということだけで、かわいそうな人認定されるなんて、日常茶飯事。だから、未亡人ということを隠すようになりました。

それまで、親しかったわけでもなかったのに、未亡人に対して興味が沸くのか、にわかに近づいてくる人もいました。

そして言葉の槍でグサリとやられることも、しばしばでした。

「わたしなら、耐えられない。偉いわ」

とか、なんとか。

偉いもなにも、自分ではどうすることもできないこと。自分で選んだわけではないこと。

励ましているつもりかもしれないけれど、そういう人からは、“ああ、わたしには夫がいてよかったわ”という安堵感みたいなものが感じられてしまうのです。

何しろ当時わたしは36歳の未熟者ゆえ、イジけてる。

だんだんと、鎧かぶとに身を包んで、盾を持つようになりました。そして、小道を選んで歩く人生へと舵を切りました。

人を励ますなんて、相当に、難しいことです。

安易な言葉は使えない。いや、使ってはいけないと肝に銘じています。

あれから30年。

あのとき身につけていた、鎧かぶとに盾は、あんまり重かったので、道すがら、ひとつずつ、捨ててきたようです。

そして、いまは、暑いから、ほとんど裸・・・ってことはない、ない(笑)

 

料理の魔力?

そんな中で、Wさんとの付き合いには、ほっとするものがありました。聞けばいろいろと苦労されてきたご夫婦でした。

もちろんWさん夫婦から、かわいそうとか、大変だねとか、そんな言葉を言われたことは一度もありません。

言わないだけでなく、思ってもいなかったと思います。そういう気配をまったく感じませんでしたから。

でも、わたしたちを応援してくれる気持ちは伝わってきました。

Wさんのご主人は当時60代半ば。

小学5年生だった長男のキャッチボールの相手をよくしてくださいました。

道路でボールを投げ合う2人の姿は、近所でもちょっとした有名な光景でした。

それから5年ほどして、老境に近づいたWさん夫婦は、店をたたんで小さなマンションに、転居。持ち物のほとんどを整理して、老後を見据えて持ち物のほとんどを整理してという潔いよい判断からでした。

Wさん夫婦はそのマンションからも出て、いまは、夫と同じ世界に住んでいます。

わたしはしょうがご飯を炊くたびに、こうして、お2人の姿をちょこっと思い出しています。

当時、息子の同級生のママだったバーバラさんの五目おこわも忘れられません。バスケットに入れて、持ってきてくれたっけ。

それから、のり子さんのホタテのキッシュ。

つや子おばちゃんのどんどん焼き(味噌風味のパンケーキ)も忘れられない。

食べ物に絡んで、思い出す人の顔、顔、顔。

きっと、料理には、心を伝える魔法の力がある。そんなことを思います。

友が逝った。ふわりと逝ってしまった。

2018年5月19日

シリーズお盆。ふるさとを思い出す味。

2017年8月15日

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りっつんブログが本になりました。

経験談や人情話から猫話。そして実用的な老後のお金の話まで。心を込めて綴りました。

「老後のお金」など、ブログではあまり触れていない話題にもかなり踏み込んで書いているので、お手にとって頂ければ幸いです。

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12 件のコメント

  • りっつんさん、おはようございます。

    私の場合、半分自ら選んで、半分相手の選択で、一人身になった時の世間の目は
    その後の人生を生きるための私のモチベーションになりました。

    人は、どうしても、自分が可愛いから、相手の不幸を自分の幸福に置き換えようと
    する。
    でも、その手には乗りませんよ。私は、私。十分幸せなんです。
    そう、心の中で思って、すっぱり縁を切ることを何度したか。

    不思議と、今必要な人は、ちゃんと現れるものですね。

    • しばふねさん

      “わたしもわたし”です(笑)

      「いま、必要な人がちゃんと現れる」

      それこそが、選んだ道が間違っていなかった、
      ということなのではないかと思います。

      うまくいえないけど、そういうことかと思います。

  • りっつんさんにも色々あったんですね。

    夫を亡くして、人は簡単に人をみくびるなあ、と思う事が多くなりました。
    そんな中で、一握りだけど、
    興味本位ではない、しみじみとした優しさを持つ人に
    出会ったり。 
    そういう人を宝物だと思うようになりました。
    社会的な肩書きや年齢はまったく関係ないですね。

    思慮深く生きていきたいです。

    わたしもお料理が好きなのですが、
    人にこしらえる料理は、その人を思うから
    美味しくなるのではと思います。 

    そのうちわたしも裸で!生きていけるといいなあ。

    • しろねこさん

      こんにちは!

      あり過ぎて、思い出せないほどですよ(笑)

      しみじみとした優しさをもった人に出会えのは、
      本当にありがたいことでした。

      社会的な肩書きとか、預金残高とか、
      身体的年齢もまったく関係ないです。

      人を思って作る料理、楽しいです。
      おいしいって言わせたい一心で、作ってます。

      夏の夜。
      裸族になりたいよね(笑)

      未亡人になったことで、
      人を見る目は養われたと思っているのですけれど。

    • さっちさん

      おはようございます。
      ぜひ、しょうがごはん、炊いてみてくださいね。
      やみつきになりますよ。

  • しょうがご飯、Wさんご夫妻のお話と心に響きました。私も作ってみます。生姜大好きです。
    未亡人としては、まわりには未亡人も少なくて、まだまだ槍が怖い私ですが、鎧兜に盾とはなんとよい表現!そろそろ盾は手放したいものです。裸にはなれそうもありませんが、羽衣くらいは纏ってゆらゆらと小道を歩きたいなぁ。

    • まめぴよさん

      羽衣、いいですねえ。
      きっと涼しいでしょうねえ。

      しょうがが大好きなら、しょうがご飯もきっと好みのはず。
      ぜひ、しょうがを刻んでみてください。

  • 生姜ご飯の思い出。
    温かいですね。
    姐さんのブログを読んで学ばせてもらった中でも大きなひとつです。はじめは、では何と言えばいいのか言葉をかけるのが怖い、とすら思いました。
    だからといってだんまりを決め込んでもいられないこともあるでしょう。
    そのときは心を込めて自分の言葉を使おう、と。
    それはそのまま私の人間性を差しだすことになるのかもしれない。結果、拒絶されるかもしれない。
    それならそれまでの人間だったってこと、また精進するのみです。
    でも、願わくば傷を抉るようなことをしない自分でいたいと切に思います。

    • デイジーさん

      おはようございます。
      難しいんですよ。
      言葉には人間性が出てしまうもの。
      だから、自分の言葉を使うために、自分の言葉を集めるために、
      きっと、毎日歩いているのですよ。
      拒絶されたとしても、縁があれば、またつながるものです。
      心をこめた一言は、きっと伝わると思います。

  • しょうがご飯とWさん夫婦の思い出、心がじんわりしました。

    料理の魔法ってありますよね。
    私は産後義母が作ってくれたプリンが忘れられません。

    「産後は脂肪分を控えて」と言われて楽しみにしていたケーキが食べられない私のために、低脂肪牛乳で。
    今みたいな暑い季節だから、ゼラチンで固めてとろーりツルンとしたプリン。

    自分でも作ってみますが、同じ味にならず毎回思い出します。

    最近はコロナで誰かのご飯を食べる機会も減ってしまって寂しいですね。。

    • しーのさん

      おはようございます。
      だれかのご飯って、本当においしいですよね。
      きっと”愛のふりかけ”(笑)
      だから、みんながわたしのご飯をおいしいと言ってくれるのも、
      それだと思っています。

      誰かに作ってもらったり、誰かのために作ったり。
      早く、もっと気楽にできようになるといいですよね。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1957年生まれの64歳(2017年に還暦を迎えた)。埼玉の片田舎で自由気ままに1人暮らしを謳歌している。 中年化した2人の息子はそれぞれ家庭を持ち、日本のどこかで生息中。 愛読書は鴨氏の書いた『方丈記』。 好きなミュージシャンは山下達郎氏と反田恭平氏。 3歩歩くとと、すべてを忘れる「とりっつん」に変身するという特技の持ち主。